「どうしてここまで悪くなる前に治療を受けなかったんですか?」歯医者さんに行って、こんな風に言われショックを受けたという方は少なくはありません。また、定期的に歯医者さんにメインテナンスに通っていたのにある日突然「歯周病で歯を抜かなくてはいけない」と宣告された方も少なくはありません。テレビや雑誌や新聞でも「歯周病」ってよく聞かれます。実は世界で最も感染者の数が多いと言われているのがこの「歯周病」なんです。しかし多くの方が「歯周病って何?」と聞かれると「さあ、老化かな?」「菌がたまって歯茎がぶよぶよになる病気かなあ」程度の認識しかない方が多いのではないでしょうか?歯周病という言葉は知っていても多くの方が気が付かないうちに進行してしまうのでしょう?それは日本人のほとんどの方が「歯周病になる原因」を正しくご存じないから、なのです。ここでは歯周病とは何か?原因は?そして歯周病を予防するには?ということを咬み合わせ専門歯科医の立場からお話させて頂きます。

歯周病って何?

現在、日本人が歯を失う原因の第1位が「歯周病」す。「虫歯」を抜いての第1位の原因なのです。残りは事故やスポーツなどで歯が折れてしまったりするケースです。成人の8割が歯周病感染者と言われています。私(吉本彰夫)はさまざまな市民講座へ講師として招かれお話をするのですがその時に最も多い質問は「歯周病はどうしたら予防できますか?」です。しかし、よくよくお聞きしてみると歯周病はどうしてなってしまうのか?歯周病って一体どんな病気なのかをきちんと話せる方はほとんどいらっしゃいません。だいたいが「老化現象ですよね?」「歯みがきをしなかったからですよね?」とおっしゃいます。歯周病で歯が抜け落ちてしまうのは老化現象であると、かなりの数の方が思い込んでおられるのです。違います。歯周病は老化現象ではありません。歯周病は歯を支えている骨が溶けてなくなってしまう病気です。骨や歯の周辺の組織を破壊していく病気なのです。

 

 

歯を失う理由は2つの原因

お口の中から歯を失ってしまう時、その原因は外部要因(交通事故や、スポーツでの事故、転倒など)を除くと大きく分けて原因は2つに分かれます。

①虫歯(歯そのものを溶かす)

②歯周病(歯の周囲の組織、歯を支えている骨を破壊することで歯を失わせてしまうもの)

①②の2つになります。

このことは実はご存じない方が本当に多いのですが虫歯菌と歯周病菌は全く違います。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、ばい菌は存在しません

私の子供の頃は祖父母が孫に口の中で柔らかく食べ物を砕いてから赤ちゃんに食べさせるなんて習慣がありましたが、今は保健婦さんや助産婦さんのご指導のお陰で口移しの習慣もほぼなくなりました。歯周病は人から人へ感染するものです。赤ちゃんが大きくなる成長の時期に両親からの口移しや、同じおはしやスプーンを使うことで感染します。一度感染するとどんどん増え細菌が住み着いてしまいます。

子育て中のご両親がかなり気をつけお子さんの口の中に感染しないように気をつけていらっしゃる場合には大人になっても虫歯ひとつないという方もいらっしゃいます。

しかし、歯周病菌に感染していたとしたら歯の周囲の組織をどんどん破壊していく病気ですので注意が必要です。

歯周病の大きな原因は2つあり「感染性の細菌」ともう一つ、「破壊的な力」です。細菌性からものと破壊的なものどちらが原因だったとしても症状としては歯の周囲の骨が溶けてなくなり歯や噛む力を支えられなくなります。そして歯がグラグラしはじめ歯が抜け落ちてしまうということが起こるのです。

 

 

この写真は歯はちゃんとあるけれど、レントゲン写真を撮影してみると歯を支えている骨は溶けてなくなっています。

 

 

 

 

 

このレントゲン写真は骨がしっかりある状態です。

歯医者さんでのレントゲンの見方は、簡単です。硬いところ(骨があるところや歯の部分)は白く映り、柔らかいところ(歯茎やお肉、神経、血管、脂肪など)や、何もないところは黒く映ります。ご自分で鏡を見て歯を見たら歯茎の上に歯がしっかり埋まっているように見えますがレントゲン写真で撮影してみると歯の周囲にはもうほとんど骨が残っていないということはよくあります。それほどレントゲン写真を撮影し骨の状態を確認するということは重要なことなのです。歯医者さんでのレントゲンの見方はこちら

上の写真のような歯の状態の方は歯の根の先しか骨で支えられていません。ですから歯ぐらぐらにと揺れてきます。

グラグラと揺れる状態の歯であればほんの少し強い力がかかってしまうと抜け落ちてしまいます。歯医者さんに行けば「もう抜歯しかない」という診断になるケースも多いですが、この状態で放っておけば何もしなくても歯は抜け落ちていきます。

お口の中は細菌でいっぱい!

皆さんはご自身のお口の中にどれくらいの種類、量の細菌がいるかご存知ですか?

歯がある人の場合、口腔内には約300~400種類の細菌が存在すると言われています。毎日きちんと歯磨きをする人で1000~2000億個、あまり磨かない人では4000~6000億、なんと全く磨かない人では1兆個言われています。

人体を構成する細胞の総数が10兆個程度と言われているのに対し、歯磨きしない人はつ歯周炎の方のお口まり、お口の中だけで、その10分の1近い数の細菌を飼っていることになります。もう少しわかりやすく話すと、プラークとも言われる、歯についている歯垢1gには約1千億の細菌がいることになります。

お口の中にそれだけの細菌がいることをほとんどの方はご存じありません。特殊な顕微鏡でご自身の唾液検査をされた方はうようよと動く細菌の数に驚かれます。「細菌による」歯周病とはどのように進行していき、我々のお口の中を壊していくのかお話します。

 

 

 

 

 

 

 

 

歯肉炎【軽度の歯周炎】

まず歯と歯茎の間に食べかすなどが溜まり、細菌も集まってプラーク(歯垢)となります。このプラークが原因で歯茎が炎症を起こし、歯茎が腫れた状態になります。この状態が歯周病の第一段階、歯肉の炎症、「歯肉炎」です。次に、そのプラーク(歯垢)に唾液の中からカルシウムなどが吸収され、カチカチの歯石となります。石のようにカチカチになるので「歯石」というのです。歯石の状態になってしまうと、もう患者様自身の歯磨きでは取れません。歯科のプロによる歯石除去が必要となります。

中程度歯周炎

歯石やプラークにより起こされた慢性的な歯周組織の炎症「歯周炎」の状態です。この状態になると徐々に内部の骨を溶かし始めます。歯石がなくならない為、炎症は常に起こり続けている状態となります。細菌や、細菌の分泌物などにより口臭なども起こってきます。口臭は周囲の人が近距離で話すとが気になる程度になりはじめます。自分の口臭はなかなか自分自身では気が付くことはできません。

重度歯周炎

炎症が進行し、骨がどんどん失われていき、歯がぐらぐらし始め、最終的には抜け落ちてしまいます。膿んできてが出たりもします。さらに細菌は血流に乗り、お身体の別の部分へ細菌がいきわたりはじめます。お口の中だけでなく全身の様々な病気の原因を引き起こしていきます。

歯周病と全身病

成人の8割の人がかかっていると言われている歯周病ですが、恐ろしいのはお口のトラブルだけではないのです。

歯周病の方は健常者に比べ、2.6倍も脳梗塞になりやすいと報告されています。動脈硬化や心臓病にも歯周病の原因菌が強くかかわっていることが年々報告されるようになってきました。ある先生がこういった病気で亡くなられた人の心臓を検査したところ、本来お口の中にいるはずの歯周病原因菌が発見されたのです。歯周病原因菌がお口の中の歯肉や骨を壊し、そのまま血管に入って血流にのってしまったのだと考えられています。お口の中の細菌の数をコントロールすることがどれほど健康を維持するために大事かということです。歯周病菌を放置しお口の中が細菌でいっぱいだと全身へ細菌がいきわたり心臓病や動脈硬化など最悪、死に至る可能性だってあります。さらに日本には予備軍を含めると2200万人はいると言われている生活習慣病、「糖尿病」とも歯周病は密接な関係があるんです。糖尿病の方が、糖尿病でない方より2.6倍、歯周病になりやすいことがわかってきています。つまり肥満で糖尿病だと、これらの数値を掛け合わせたぐらいの頻度で歯周病になりやすいし、メタボリックシンドロームの人は、なおのこと気をつけなければならないわけです。歯周病というのは、糖尿病の6番目の合併症といわれていたのですが、これからは、メタボリックシンドロームの合併症として考えた方がいいのではないかともいわれています。歯周病は、嫌気性菌による感染症ではありますが、遺伝や生活習慣が引き金となって発症する生活習慣病としての要素も兼ね備えているという認識がとても大事なのです。病気は口から入ってくると言われる通り、お口の中の細菌の状態で健康状態は大きく違ってくるのです。

破壊的な力

もう一つ、「破壊的な力」歯周組織を壊す大きな原因となります。破壊的な力と言ってもピンとこないかもしれませんね。破壊的な力とは、噛み合わせが悪い事による咬む力のストレス、日中や夜寝ている間の歯ぎしりや食いしばりなどです。

実は咬み合わせが悪いと、普通にかみ合わせたり、物を食べたりする時にも不適切な力が歯や歯周組織にかかっているんですね。

噛む力は男性では200キロ、女性でも100キロもの力がかかっていると言われています。ものすごい力だと思いませんか?いくら歯や骨が強いとはいえ、このような力が恒常的にかかり続けると歯や歯周組織を壊す原因になります。

さらに過剰なストレスにより日中食いしばったりされている方は奥歯は非常にすり減っている方が多く常に歯や歯周組織に過大な力が加わっていることになります。どんどん歯が破壊され続けていきます。

またどんな方でも私たちはほぼ100%歯軋りをしています。夜寝ているときには意識がないため、歯ぎしりや食いしばりをしても、日中では強く噛むと痛みを感じたりして意識的に噛まないようにすることができますが、寝ている間は意識できません特に歯ぎしりは、歯に最もダメージが大きい横揺れの力を加えてしまいます。この横揺れの力が恐ろしいのです。毎日毎晩横に揺らされ続けていると、歯の周囲の組織は破壊されていきます。歯が壊れる原因はこちら

歯周病を予防する時に、歯のお掃除だけでは不十分であるという理由がこの「破壊的な力」へのアプローチがなされていないから、ということがあります。どんなに歯のお掃除を一日何度も頑張っても歯医者さんに定期的にクリーニングに行っても歯周病が進行し、結局歯を抜かなくてはいけなくなったということということが後を絶たない理由は破壊的な力への十分なアプローチがなされていないからです。破壊的な力へのアプローチはお口の中に過剰な力がかかりにくい状況を作ってあげる必要があります。咬合調整や歯の破壊を防ぐマウスピースなどでアプローチをしていきます。

喫煙は歯周病の進行を助長

あまり知られていませんが喫煙による血行障害も歯周病の進行を助長する大きな原因です。

タバコと歯科の関係についてはこちらに書いておりますのでご覧ください。

https://www.8181118.com/news/2014/03/post-306.php

https://www.8181118.com/news/2014/03/post-303.php

https://www.8181118.com/news/2014/03/post-304.php

https://www.8181118.com/news/2014/03/post-305.php

https://www.8181118.com/news/2014/03/post-307.php

たばこの中に含まれるニコチンには血管収縮してしまう作用があります。血管が収縮することで細菌と闘ってくれる白血球や、組織修復、再生に必要な栄養や酸素がいきわたらなくなってしまいます。そのため歯周病の進行を助長してしまう原因になります。

歯周病は感染症です。

歯周病は感染症です。人から人へ感染する病気だということを知って下さい。「歯周病はうつりますか?」というご質問を本当によく頂くのですが「はい、歯周病はうつります。人から人へとうつります。」とお答しています。また「歯周病は親から子へ遺伝しますか?」というご質問も頂きます。これに対しては「生活習慣が同じ」という意味での感染があるのです。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には実はばい菌はまったく存在しません。では、どこばい菌が入ってくるかと言えば、お母さんや家族からの口移しや口をつけたスプーンで食べ物を与えるといった行為により感染します。私の子供の時代にはまだ、お母さんやおばあちゃんが口の中で食べ物をぐちゃぐちゃに砕いて柔らかくしてからそれをスプーンで子供に与えるということをしていました。現代においては保健所や病院からの情報の提供や母親の知識も増えたためこういった行為はほぼ行わなくなりました。そのお陰か、今、子供たちの口の中には虫歯でいっぱいという子供は本当に少なくなりました。歯周病は感染症ですので、ばい菌が人から人へうつります。年齢は関係ありません。同じスプーンを使う、キスをする、同じ歯ブラシを使うといったことで感染していきます。歯周病の原因である歯周病菌が感染することにより歯周病は発症し、進行していくのです。 

歯の構造

歯の構造をご覧ください。歯はこのように硬い骨に埋わっている存在です。見えているのは歯の頭部分であり歯の下には骨があるんです。骨がしっかりあるから歯を支えていることができるんです。しかし、歯を支えている骨が溶けてしまったら・・・?

この写真は歯周炎が進行した状態です。肉眼で見える部分の歯は白くて一見丈夫そうです。

しかしレントゲン撮影をしてみると歯を支えている骨はほとんど溶けてありません。土台である骨が溶けてなくなっているため、この歯たちが揺れ始めて抜け落ちるのは時間の問題です。レントゲン写真というのは硬いものが白くうつります。ご自分の目で鏡で見てみると歯はしっかり丈夫そうに植わっています。しかし、じつは歯の周りの骨がかなり溶けてしまっているということがわかります。歯の周辺の骨がない状態(左)と骨がしっかりある状態(右)です。見た目で歯がちゃんと並んでいても歯を支えているのは歯茎ではなく骨です。土台となる骨が溶けてなくなってしまっているので、少しの噛む力であっという間に破壊されてしまいます。

歯周病の原因「細菌感染」

これはお口の中の歯垢をほんのわずか取り特殊な顕微鏡で撮影したものです。写真では止まっていますが、実際はうようよと動いています。これが口の中の細菌です。細菌の中で生きているんです。口の中には約400種類の歯周病菌が存在していると報告されています。もちろん口の中の環境を保つのに必要な菌も存在しています。細菌感染による重度の歯周病が進行している方のお口の中の菌を調べてみると、健常な方の100倍、1000倍の歯周病菌が存在している方もいます。お口の中の細菌は肉眼では見えませんが、こうして顕微鏡レベルでみてみるとどの患者さんも驚かれます。

 

 

 

一般的に行われている歯周病検査の落とし穴

一般的に行われている歯周病検査について詳しくご説明しますね。そして、なぜ、従来の常識では歯周病は治らないどころか、手遅れになるまで気がつくことができないのか、そして検査という名のもとに歯周病を悪化させる行為を行っているのか、ということをお話してまいりたいと思います。

通常、歯周病と診断された場合、多くの歯科医院では、「では、数回にわけてお口の中のお掃除をしていきましょう」という流れになります。ご経験がある方も多いかと思いますが、数回に分けて歯科衛生士がお口の中の歯石を除去していく治療を行います。

しかし、実際には歯周病は歯石を除去したり、歯のお掃除をしたりする治療だけでは残念ながら歯周病は治ってはいきません。感染に対する治療を行わなくてはならない病気です。お口の中には何十億というバイ菌が存在しています。

とても重要な点ですので、ご自身の歯を失いたくない方はどうぞ正しい知識をご理解下さいね。通常の歯周病治療、「歯のお掃除」「ブラッシング」だけではどんなに頑張って歯科医院に通っても良くなっていくことはありません。

感染症ですのでどんどん進行は進む一方です。ここを間違うと将来必ずご自分の歯を失い、入れ歯もしくはブリッジ、インプラントが必要になります。歯周病は感染症です。しかし、歯医者さんに行くと「歯周病なのでしっかりブラッシングして下さい」としか言われません。これはなぜなのでしょう?

いったいどうすれば歯周病は良くなるのか?最善の歯周病治療はいったいどんなものなのか?どこの歯医者さんでもはっきりと教えてくれることは少ないのではないでしょうか?歯周病の診断は、歯肉溝(しにくこう)と言われる歯と歯肉の境目の溝の深さを測る検査の結果に基づいて診断されるのが一般的です。

この検査は歯肉の検査です。歯周病とは骨の病気です。歯を支えている骨が溶けてなくなってしまう病気です。つまり、歯肉の中にある骨の検査がどうしても必要になってくるのです。日本の保険制度においては全て「医師、歯科医師は患者さんに対して何か処置をするときには必ず、どういう状態であるか?ということを検査しなくてはならない」という基本的考えがあります。そして、何らかの処置の結果良くなったのかどうか?その治療ははたして正しかったのかどうか?検査して診断する。そしてその後、次の治療が必要かどうか?もう処置は必要ないのか?次にどんな治療が必要か?つまり検査→処置→検査→処置→検査の繰り返しです。そういう検査を必ずしなければ次の処置に入れないわけです。こう聞くとなんだかとっても理にかなっているように聞こえますよね?医科の中ではそれは確かに、正しいかもしれません。まずレントゲンを取って、例えば骨折をして骨がずれているから骨折の治療をしましょう、というように。定期的に骨がくっついたか?ずれていないか?再検査のレントゲン撮影。インフルエンザの検査をして、インフルエンザウイルスが確認されてはじめてインフルエンザの薬を飲むというように。とても痛いインフルエンザの検査をせずして、インフルエンザの薬を処方することはできない!というように。しかし、よく読んで下さいね。日本の保険制度においては歯周病に関していえば、まず歯茎の深さを測る検査をしなければいけません。そして歯の表面のお掃除、スケーリング(歯石除去)そしてまた検査、そしてちょっと深いところのお掃除、SRP(深い部分の歯石除去)そしてまた検査そしてもっと深いとろこのお掃除、歯周外科そしてまた検査・・・・こういう順番で治療が進められていきます。歯科の場合は、まず歯茎の検査というのを行いそれに基づく掃除をする。検査をしなければ掃除をしてはいけないのです。写真を撮影してもダメ。プラークコントロールもダメ。歯周病の管理をする行為もダメ。保険の算定ができないのです。掃除をしていない歯を削ってかぶせ物をしてはいけないのです。日本の保険制度の制約にはそういう決まりがあるのです。かぶせ物をする前には必ず検査をして掃除しなければいけないのです。かぶせ物をした歯に掃除はできないのです。かぶせ物をする前に、掃除は理論上では終わっているはずなので、かぶせ物をした歯に掃除は必要ない、とされているのです。ところがこの歯周病の検査が実はとてもやっかいなのです。

歯周病の検査、何をするかというと、歯周ポケットの中に細い針のような検査器具を差し込んで深さがどれほど深いか測るわけです。歯茎にブスブスと針のような棒を突きさされたことありませんか?ちょっと痛いですよね。

汚れを取ってもいないのに、あの針のような器具で上から下につっこまれるわけです。その時に歯の表面についてあるバイキンはどうなるでしょう?お口の中にはこれだけの菌がいっぱいいるとお話しました。歯茎の中の深いところに押し込まれるわけですね。だって口の中には何十億という無数の細菌が常に存在しているわけですから・・・。そうするとどういうことが起こるでしょうか?歯の際の歯茎が傷ついて出血します。歯肉が傷つきます。ご丁寧にも傷をつけて出血させているのです。傷つけた所に細菌を押し込んでいるのです。バイキンが体内に侵入してきます。傷口にバイキンを押し付けられているのです。心筋梗塞で心臓の血管が詰まってお亡くなりになられた方がいらっしゃいます。何が詰まっているのだろうと、調べられた先生がいます。国際的な科学論文誌に掲載されています。口腔内細菌が出てきたそうです。この口腔内細菌は口の中に居たはずですが、どこからどのように心臓まで入っていったのでしょう?歯茎周辺にいた口腔内細菌がさらに歯肉の中に押し込まれ血流に乗って心臓まで流れていった可能性もあるという発表まであります。中度・重度の歯周病で歯ぐきが常に炎症を起こして出血しやすい状態で、そこから入って行った可能性もあります。実際、こういった研究内容は一般的な情報としてはなかなか生活者の方には届きません。つまり、「さあ、歯周病かどうか検査してみましょうね」という検査という名のもとに、歯周病の悪化をお手伝いしているのです。しかし、日本の保険制度においては、それをしないといけない、と定められている。そういう矛盾があるのです。それをしないと保険の治療をしてはならない、と決められているので、患者さんにとってはデメリットが大きいと知りながらも歯科医師はそこを避けて通ることはできないわけです。ですから保険の治療を選択された人は歯茎のチクチクする検査をまず第一に受けていただくしかないわけです。そうすると次の日にはひどく腫れてくる患者さんもいます。検査でもってさらに悪くなってしまったのです。しかも除去しにくい歯の深いところにあるバイキンを除去しなければいけないという状態にもかかわらず、わざわざ歯茎の際にいたバイキンを歯ぐきの深いところまで押し込まなければいけない。深いところにいる歯周病菌はさらに奥深くへ押し込められるのです。つまり、治療を開始するための必要な検査という理由で、病気を悪化させているのです。

咬み合わせ専門の吉本歯科医院が行う歯周病検査

私が歯の予防歯科システムを自由診療で確立したかった理由のひとつにこの「歯周病を悪化させるための検査」を行いたくない、という想いがあります。吉本歯科医院の「予防歯科システム」は保険診療で行っていないため、保険制度の制約を受けることがありません。したがって、このような検査を受ける必要は患者さんには全くない、ということです。それだけでも実は歯を失わないための歯科治療の大きなポイントなのです。お話しましたように、これが保険治療の第一の問題です。しかも歯周病菌の種類にかかわらず、やり方は全部同じです。こんなことをしていて歯周病が治るわけがない、私はそう考えます。表面の掃除が終わってやっと歯ぐきが落ち着いて腫れが少し引いてきだしたかなという頃、また検査です。また深い所に残っている歯周病菌を深く押し込まれ、また腫れます。今度の掃除は深く痛いものだから、麻酔して掃除をします。治るとは思えません。3歩進んで2歩下がる。この繰り返しです。こんなことが当たり前にように日本全国の歯科医院では今日も繰り返されているわけです。

歯を失う原因のほとんどが歯周病だというにもかかわらず、日本の保険制度では、

歯周病細菌の種類を調べる

薬を飲む

一度に掃除する

予防する

という行為に対しては一切保険は認められていない、という現実がここにあります。歯医者さんに行って歯周病なんて一言も言われたことなかったという方が圧倒的に多いのはそこにも原因があるんですね。現在の日本の保険では治せないので、うっかり「あなたは歯周病です」なんて言えないわけです。患者さんから治して欲しいと言われても治してあげられないのが現実なのです。「じゃあ、どうしたらいいの?」「歯を失わないためには、どうしたらいいの?」ということになります。ここまでの話をまとめますと、骨が溶ける主な原因には2つありました。

口の中の細菌によるもの(細菌感染)

噛み合わせから起こる「破壊的な力」(外来的要因

この2つの原因に直接アプローチできるような治療体制が整えられているということが第一の重要なポイントです。しかし、最大のポイントは従来型の「歯茎の中に細菌をわざわざ押し込んで現状を悪化させるような歯周病検査を行わない」、ということが最大のメリットなのです。本当におかしな話なのですが、保険証を提出して、「保険で治療して下さい」と患者さんからの申し出がある場合には、歯科医師はこの「歯周病検査」を制定された通りのやり方で検査を行わなくてはならないのです。その行為そのものが「歯周病をますます悪化させている」と知っていても、です。「そんな馬鹿な!ひどい話じゃないか!」と怒りたくなるお気持ちももっともなのですが、現在の日本の保険制度では、そのように行うことが制度で定められているのでしょうがないのです。しかし、現在ではどうにもなりません。さらに、何をもって歯周病が治った、とするか?ここが歯周病治療の大事な目標です。例えば内科に行けば、風邪薬を飲み、養生をしていればある程度は治りますよね?で、症状が治まれば五体満足「風邪は治った」となります。しかし、歯科は違います。外科と同じで「削って悪いところを除去する」ということが治療の主体になります。この感染症、歯周病の場合、一度溶けてしまった骨は元には戻りません。どんどん歯を支えている骨が溶けてなくなっていく一方です。ですので、治療の目標は、「治る」ではなく「元に戻る」でもなく、また、「進行を止める」でもなく、「進行を遅らせる」ということ、これが歯周病治療の最終目標です。こんなに頑張ったのに、こんなに歯医者に通ったのに・・・。でも治りません限られた条件付きである程度骨を再生する治療はありますが、基本的にはその進行するのを遅らせるということが治療の第一の目的です。大事なことは歯の寿命を人間の体の寿命よりも長く、または同等程度にしてやることができれば死ぬまで十分に快適な生活を送ることができるのです。

吉本歯科医院で行う歯周病検査と治療

歯周病治療には診断が最も重要です。つまり、相手が何なのか?歯周病菌の種類が判らなければ、どんな治療をすれば治るのか?がわからないわけです。
歯周病治療には診断がもっとも大事ということです。頭が痛いのに頭痛薬だけ飲んでいたら痛みは和らぐかもしれませんが、脳腫瘍とか脳血管障害などは絶対に治らないわけです。歯周病についても全く同じことがいえます。診断が大事なのです。何の歯周病菌の種類において、今日の歯周病が引き起こされているのか?その診断をすることがとても大事なのです。そうしなければ、戦闘機に向かって竹やりで攻撃をしているようなものです。(※表現が適切でないとお感じの場合はご了承下さい)これではいつまでたっても治ることはありません。繰り返します。歯周病の治療においてはまず検査が必要歯周病の歯周病菌の種類を診断する検査です。歯周病は感染症であり、歯周病菌の存在なしでは発症することは絶対にありません。一般に診断名によって治療方針が決定され、治療が行われますが、その診断名を決定するためには検査が必要です。

歯周病菌の種類にはたくさんあります。
口の中には約400種類の歯周病菌が住んでいると報告されています。
それらの中には口の中の環境を保つのに必要な菌もたくさん含まれています。ですから、むやみやたらに抗生物質やうがい薬で消毒をするのはいけないことです。
長期的には菌交代現象が起こり、殺菌剤で死なない細菌だらけになる恐れもあります。
そのなかで、特に深刻な悪さをする歯周病の歯周病菌にはつぎの4つが代表的なものです。

歯周病は、先ほどお話ししたお口の中の300~400種類の細菌全部が悪さして起こっているわけではありません。ごく一部の細菌たちが悪さをすることで発症します。歯周病菌の中でも悪さの仕方や度合いにそれぞれ特徴や大きな差があり、何より大切なことは、歯周病罹患者でもみんな持っている菌は違うという事です。もう少し詳しく言うと、歯をしっかり磨くだけでその進行を遅らせたりある程度止められるくらいの菌もいれば、そんなことぐらいでは全く止められず、放置しておくとどんなに頑張って磨いていても、若くして多くの歯を失うこととなりかねない危険な菌が存在する方もいらっしゃるという事です。

例えば、多くの成人の歯周病患者さんのお口から検出される「歯周病菌」Porphyromonas gingivalis(通称P.gと省略されます)は、その表面にある線毛という器官の造りの違いから6つのタイプ(typeⅠ、Ⅰb、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ)に分かれています。この中で、多くの重篤ではない歯周病患者の方が持つ菌のタイプはTypeⅠであることが多いのに対し、重篤な症状になりやすい方の多くはTypeⅡないしはⅣをもっていることがわかっています。また、まだ10代や20代の若い方で、お口の中は一見たいした汚れもついていなさそうに見えるのに、普通の歯周炎よりはるかに急速に骨を溶かしていく恐ろしい歯周病もあります。

これを「若年性歯周炎」または、「急速進行性歯周炎」と呼びますが、これらと関連が深い歯周病菌に、Aggregatibacter actinomycetemcomitansこちらもA.aと省略されてよばれます)というものがいます。この菌は白血球を壊すという恐ろしい能力を持ち、早いうちに対処していかないと、まだ若い人たちから、食べる喜びと、噛む力、見た目の美しさを奪っていってしまいます。

こういった危険な菌をお持ちの方は、そうでない方向けの、単純な歯のお掃除のような治療では不十分です。しっかりとした清掃はもちろんの事、信頼性の高い検査を行って、どの菌が悪さをしているのかを暴き出し、その菌に本当に有効なお薬を選定して投与したり、外科的に歯周ポケットの中を徹底的にきれいにするなどといった、積極的で特殊な治療が必要になります。当医院では、こういった危険な歯周病かどうかを判別し、もしそうであった場合どのような抗菌薬や治療方法が有効なのかを調べるため、口腔内細菌検査を行っています。これは、お口の中の菌を採取し、その中から歯周病と関連の強い6菌種に対し、「PCR-インベーダー法」という精度の高い検査方法で、その量や、それによるリスクを判定し、さらには先に述べたg菌のタイプまで調べ上げることができる極めて有用な検査です。この検査の結果に基づいて、その患者様に最適な治療法を診断し、ご提案させていただきます。

1.Actinobacillus actinomycetemcomitans (A. a.菌)

小さな球形に近い、非運動性、非芽胞産生性、糖分解性、好二酸化炭素性、通性嫌気性、グラム陰性の、両端の丸い桿菌。
限局型若年性歯周炎の病巣から比較的高率に検出され、 健康な、あるいは軽度にしか罹患していない患者の歯肉縁下プラークからの検出率は低いとされています。

2.Porphyromonas gingivalis (P. g.菌)

黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、これらは 偏性嫌気性、グラム陰性、非芽胞産生性、 非運動性桿菌で、血液培地で増殖すると、褐色あるいは 黒色に着色したコロニーを作ります。
進行した成人性歯周炎の病巣から、また、広汎型若年性歯周炎の病巣からも分離されます。歯肉の炎症の程度と歯肉縁下プラークに占める本菌の 比率との間に相関関係があることも明かにされています。対照的に健康人あるいはまだ歯周炎に罹患していない 歯肉炎患者の歯肉縁下試料からは まず検出されません。

3.Prevotella intermedia (P. i.菌)

同様に黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、進行した歯周炎患者のポケットから、しばしば多数のP.gingivalis と一緒に分離され、 単独に存在することは稀です。
P.intermedia は歯肉炎患者および健康な歯周組織を持つヒトの半数以上に存在しています。

4.Tannerella forsythensis (旧 Bacteroides forsythus、T. f.菌)

グラム陰性、非運動性、初期には球菌様を呈する 嫌気性桿菌であるが、時間が経つと、通例、先のとがった両端と膨れた中心部を示すようになる。
本菌は歯肉炎や健康部位、または疾患の軽快した部位に 比べ、歯周組織破壊の激しい部位で高率に検出される。また、表在性や非活動性の病巣よりも、深在性で活動性の歯周病病巣でそれが顕著である。難治性歯周炎の指標として重要な菌種です。

5.Treponema denticola (T. d.菌)

スピロヘータは、長くて細いグラム陰性嫌気性菌で、歯周病羅患部位の歯肉縁 下プラーク試料からしばしば分離されます。人の腸管や泌尿・生殖器表面からも見つかり、いくつかの種は梅毒のような重篤な感染症の原因菌です。
歯周病の病理発生における口腔スピロヘータの役割についてはまだよく解っていませんが、最も頻繁に分離される T.denticola については盛んに研究されており、歯周病の活動度や重症度と関連している、あるいはこの菌が免疫抑制作用に関わっているという報告などがあります。また、治療された患者でスピロヘータの割合が高いと、それが低い場合よりも再発しやすいとの報告もあります。

6.Fusobacterium nucleatum (F.n.菌)

Fusobacterium nucleatum(F.n.)は、線状の長いグラム陰性嫌気性菌で、デンタルプラークなどでは大きな体積比率で存在しています。ヒトの口腔内に常在 し、菌の両端が尖って中心部がやや太いことから紡錘菌とも言われます。
F.n. は、歯周病原性菌の1つで、デンタルプラーク形成に中心的役割を担って い て、他の細菌と共凝集することによりバイオフィルムを形成します。

  1. g.菌、T. f.菌、T. d.菌の3種類の組み合わせは、RED complex と呼ばれ、重要視されています。

 

1、歯周病細菌検査

吉本歯科医院の歯周病細菌検査は一般的な歯科医院で「あなたの口の中にはどれだけの細菌がいるか検査してみましょう」という内容のものではありません。歯周病に対して特に深刻な悪さをする上記の6つの歯周病菌がお口の中に存在するかどうか?またもし存在した場合、どの程度の数の歯周病菌がいるのかという数値を調べることができるものでなければ意味がないのです。その検査は当然一般の歯科医院ではできません。
それは外部の歯科専門の研究検査センターに依頼しなくてはなりません。 それがPCR-インベーダ法であったり、インベーダ法(IV法)であったり、そういう新しい検査機器の発達によって見つけることができるのです。そしてAaにおいてはPCR-インベーダ法でなければ意味がありません。 Directインベーダ法でも検査はできますが、5000未満という検査結果だけでは決して安心できないのです。 唾液検査では不正確です。ペーパーポイントによる検査が必要です。

どこの研究機関に依頼するか?どの器械でどの検査法で検査するかが重要なのです。
もちろん医院でのテクニカルなサンプリングも重要です。医院でのサンプリングの技術も重要です。もちろんこの検査や治療には保険は残念ながら効きません。

2、歯周病細菌検査結果

歯周病菌除菌治療歯周病菌細菌検査結果には患者さんのお口の中に特に深刻な悪さをする6つの歯周病菌の種類と数が記されています。その種類と数をもとにワンスジフルマウスディスインフェクションという歯周病治療を行うのです

3、ワンステージ フルマウス ディスインフェクション

ワンステージ フルマウス ディスインフェクションいう治療です。口の中を全部1日で一度に掃除治療してしまう。歯周病菌を殺す薬で一気に歯周病菌を殺してしまう、これがとても大事なのです。そして同時に飲み薬も服用して頂きます。悪さをしている歯周病菌を殺す薬です。では、菌を殺す薬なら何を飲んでもいいのか?違います。歯周病菌の種類に応じて効く薬と効かないお薬があります。だから歯周病菌の種類が分らないといくら痛みを治すために薬を飲んでも治らないわけです。大事なことはまず

  1. バイキンの種類が何なのかを調べて知る、確認する(診断)
  2. 歯の表面についたばい菌を除去できるように練習します(ブラッシング)
  3. それから一気に口にいる歯周病菌を取り去る(治療)
  4. 同時に除去しきれかったところ、人間がやることですから全部を一度にのけるということは不可能です。ですから、その歯周病菌を殺すためのお薬を飲んでいただく。

以上のプロセスが非常に大事になってきます。

プラークだとか、歯石だとか、かたまり(バイオフィルム)に関しては、いくら薬を飲んでも効きません。機械的に人の手で除去してやるしかありません。そして、その歯周病菌の種類に応じて効く薬、歯周病菌を殺す薬を飲むということが大事なのです。

A菌にはA薬
B菌にはB薬
C菌にはC薬が必要です。

AB菌がいるにもかかわらずA薬を飲み続ければA菌が減り炎症は治まりますが、B菌が残ります。そしてA薬が効かなくなります。(菌交代現象)
AB菌になると、A薬とB薬を同時に飲まなければ薬が効きません。効力がなくなってくるのです。
治療に関しては、感染症であるから、歯周病菌を除去するということが治療の目標です。

では、一度にバイキンをのけるというけれど先ほどの6つのバイキンのうち最も多く悪さをするPG、中等度の歯周ポケット、6〜7ミリの場合、縁下の歯周病菌を直接除去しないと、プラークコントロールは困難です。

そしてAa菌は術後に残存しやすいです。少量のバイキンでも油断するとどんなに頑張ってもすぐに悪化します。 だからその原因である歯周病菌の歯周病菌を目標とする数値(域値)以下にコントロールすることが、常にそれ以上増えないようにすることが目標です。

そしてもうひとつ、治療の目標としては、深い歯周ポケットがあると、そこに歯周病菌がまた住み着いてしまうので、そのポケットを浅くする、そして減らす、歯周病菌の数を少なくする、それによって進行を遅らせる、これがとても大事なことなのです。
そしてRED complex といわれる3種類のバイキンとAaの4種類です。
さきほどの歯周病菌の集合体、これが、他の歯周病菌の中で存在するのを5〜10%の量にまでもっていかなくてはならないのです。
これらの歯周病菌が口の中に大量に繁殖していたらダメなのです。

歯周病に関係が深いといわれている歯周病菌、これは嫌気性菌がほとんどです。
つまり 酸素に触れると死滅つまり、死んでしまうわけ です。
だから今まで見つからなかったのです。

今、注目を浴びている歯を削らずにお薬でむし歯を治すという薬で治す治療法も全く同じです。 「細菌を培養しても増殖していないから大丈夫ですよ」ということで、治療はされていたけれども、治療は失敗に終る。口の中に細菌が実は残っていた。 だから嫌気性菌培養といって空気のないところでバイキンを増やす検査法ができてはじめて嫌気性菌が発見されたのです。 薬で治す治療法はこの嫌気性菌に効くのでむし歯が治っていくのです。

歯周病も同じです。重症化させる歯周病菌は、深いところにいるから生き延びることができるのです。歯石になって酸素を遮断できるからブラッシングだけでは意味がないのです。
それを見つける検査ができたわけです。効く薬が何なのかわかってきたのです。

4、投薬処方

歯周病菌を殺す薬で一気に歯周病菌を殺してしまう、これがとても大事なのです。そして同時に飲み薬も服用して頂きます。悪さをしている歯周病菌を殺す薬です。
では、菌を殺す薬なら何を飲んでもいいのか?違います。歯周病菌の種類に応じて効く薬と効かないお薬があります。

だから歯周病菌の種類が分らないといくら痛みを治すために薬を飲んでも治らないわけです。
大事なことはまず

  1. バイキンの種類が何なのかを調べて知る、確認する(診断)
  2. 歯の表面についたばい菌を除去できるように練習します(ブラッシング)
  3. それから一気に口にいる歯周病菌を取り去る(治療)
  4. 同時に除去しきれかったところ、人間がやることですから全部を一度にのけるということは不可能です。ですから、その歯周病菌を殺すためのお薬を飲んでいただく。

以上のプロセスが非常に大事になってきます。

プラークだとか、歯石だとか、かたまり(バイオフィルム)に関しては、いくら薬を飲んでも効きません。機械的に人の手で除去してやるしかありません。
そして、その歯周病菌の種類に応じて効く薬、歯周病菌を殺す薬を飲むということが大事なのです。

A菌にはA薬
B菌にはB薬
C菌にはC薬が必要です。

AB菌がいるにもかかわらずA薬を飲み続ければA菌が減り炎症は治まりますが、B菌が残ります。そしてA薬が効かなくなります。(菌交代現象)
AB菌になると、A薬とB薬を同時に飲まなければ薬が効きません。効力がなくなってくるのです。
治療に関しては、感染症であるから、歯周病菌を除去するということが治療の目標です。

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香川県高松市。かみあわせ専門 吉本歯科医院 院長 歯学博士。歯の神経治療について専門的な情報を発信。四国で唯一の接着歯科学会認定医。歯を削らず虫歯で治す虫歯治療を行っている。歯医者さんが教える歯を失わない話を各地で講演、セミナー実施。放送大学講師

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