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最善の歯周病治療をお考えの方へ

はじめまして。歯周病治療専門歯科 吉本歯科医院の院長、吉本彰夫です。吉本歯科医院の歯周病治療に関心をお持ち下さって本当にありがとうございました。一体どうすれば最善の歯周病治療が実現するのか?順番を追ってご説明してまいります。

歯周病や歯槽膿漏は決して老化や歯みがきを怠ったということだけが原因ではありません。

歯周病のしくみ

まず最初に「歯周病」について正しく知って頂きたい。

歯周病は感染症です。歯周病は感染症。しかし、歯医者さんではこう言われると思うのです。歯周病が進行しています。まずは磨けていないところをしっかり歯みがきをしていきましょう」としか言われません。または歯周病が進んでいるようなので歯の掃除を定期的に順番にやっていきましょう」としか言われません。

なので多くの患者さんは歯周病=歯の掃除をすれば治るものと思い込んでいらっしゃいます。歯周病とはどういう病気で歯周病の治療は具体的にどうすればいいのか?どこの歯医者さんでもはっきりと教えてくれることは少ないと思うのです。その理由は後程、お伝えします。歯周病は口の中の歯周病菌が原因で起こります。歯周病菌の種類にはたくさんあります。


口の中には約400種類の歯周病菌が住んでいると言われています。約400種類の歯周病菌の中には口の中の環境を保つのに必要な良い菌もたくさん含まれています。良い菌ですから、むやみやたらに除菌しようとして抗生物質やうがい薬で消毒をしてはいけません。

過剰な消毒や除菌を行うことにより長期的には菌交代現象が起こります。菌交代現象が起こると何が起こるか?お口の中が殺菌剤で死なない細菌だらけになる恐れもあります。気をつけて下さいね。歯周病細菌の中で、特に深刻な悪さをする歯周病の歯周病菌がありますのでご紹介します。以下の6つが代表的な歯周病菌になります。

1.Actinobacillus actinomycetemcomitans (A. a.菌)

小さな球形に近い、非運動性、非芽胞産生性、糖分解性、好二酸化炭素性、通性嫌気性、グラム陰性の、両端の丸い桿菌。
限局型若年性歯周炎の病巣から比較的高率に検出され、 健康な、あるいは軽度にしか罹患していない患者の歯肉縁下プラークからの検出率は低い

と言われているものです。

2.Porphyromonas gingivalis (P. g.菌)

黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、これらは 偏性嫌気性、グラム陰性、非芽胞産生性、 非運動性桿菌で、血液培地で増殖すると、褐色あるいは 黒色に着色したコロニーを作ります。
進行した成人性歯周炎の病巣から、また、広汎型若年性歯周炎の病巣からも分離されます。歯肉の炎症の程度と歯肉縁下プラークに占める本菌の 比率との間に相関関係があることも明かにされています。対照的に健康人あるいはまだ歯周炎に罹患していない 歯肉炎患者の歯肉縁下試料からは まず検出されません。

3.Prevotella intermedia (P. i.菌)

同様に黒色色素産生性バクテロイデス属に入り、進行した歯周炎患者のポケットから、しばしば多数のP.gingivalis と一緒に分離され、 単独に存在することは稀です。
P.intermedia は歯肉炎患者および健康な歯周組織を持つヒトの半数以上に存在しています。

4.Tannerella forsythensis (旧 Bacteroides forsythus、T. f.菌)

グラム陰性、非運動性、初期には球菌様を呈する 嫌気性桿菌であるが、時間が経つと、通例、先のとがった両端と膨れた中心部を示すようになる。
本菌は歯肉炎や健康部位、または疾患の軽快した部位に 比べ、歯周組織破壊の激しい部位で高率に検出される。また、表在性や非活動性の病巣よりも、深在性で活動性の歯周病病巣でそれが顕著である。難治性歯周炎の指標として重要な菌種です。

5.Treponema denticola (T. d.菌)

スピロヘータは、長くて細いグラム陰性嫌気性菌で、歯周病羅患部位の歯肉縁 下プラーク試料からしばしば分離されます。人の腸管や泌尿・生殖器表面からも見つかり、いくつかの種は梅毒のような重篤な感染症の原因菌です。
歯周病の病理発生における口腔スピロヘータの役割についてはまだよく解っていませんが、最も頻繁に分離される T.denticola については盛んに研究されており、歯周病の活動度や重症度と関連している、あるいはこの菌が免疫抑制作用に関わっているという報告などがあります。また、治療された患者でスピロヘータの割合が高いと、それが低い場合よりも再発しやすいとの報告もあります。

6.Fusobacterium nucleatum (F.n.菌)

Fusobacterium nucleatum(F.n.)は、線状の長いグラム陰性嫌気性菌で、デンタルプラークなどでは大きな体積比率で存在しています。ヒトの口腔内に常在 し、菌の両端が尖って中心部がやや太いことから紡錘菌とも言われます。
F.n. は、歯周病原性菌の1つで、デンタルプラーク形成に中心的役割を担って い て、他の細菌と共凝集することによりバイオフィルムを形成します。

P. g.菌、T. f.菌、T. d.菌の3種類の組み合わせは、RED complex と呼ばれ、重要視されています。

 

 

歯周病治療には診断がなによりも大事

歯周病治療には、相手が何者なのか?ということを知ることが大事です。

歯周病菌の種類が判らなければ、どんな治療をすれば治るのか?という判断がつかないのです。歯周病治療には診断がもっとも大事であることを知って頂きたいのです。もし、あなたが今、頭が痛いとなった時頭痛薬を飲んだとしたら痛みは和らぐかもしれません。しかし、もし、その頭痛が脳腫瘍や脳血管障害が原因だった場合には脳腫瘍とか脳血管障害などは頭痛薬では絶対に治らないわけです。

歯周病についても実は全く同じことが言えるのです。歯周病治療には診断が大事なのです。何の歯周病菌の種類において、今のあなたの歯周病が引き起こされているのか?その診断をすることがとても大事なのです。それをせずしてむやみやたらに薬を飲んだり歯の掃除を繰り返したりすることではこれではいつまでたっても治ることはありません。

歯周病の治療においては

①まず検査が必要です。

この検査はお口の中に存在する歯周病菌の種類が一体何なのかを突き止める検査です。

 

歯周病は感染症であり、歯周病菌の存在なしでは発症することは絶対にありません。

歯科治療というものは一般に診断名によって治療方針が決定され、治療が行われます。その診断名を決定するためには必ず検査が必要なのです。つまり、

といった流れになります。

ここでの検査とは、レントゲン撮影による検査、歯周ポケットの計測も行います。


しかし、これらの検査でわかることは歯周病のバクテリアやかみ合わせ異常による破壊など過去に起こった歯周組織の破壊だけです。

 

原因をきちんと突き止め治療方針を決定するために感染症では歯周病菌検査が必要なのです。

 

患者さんにお話しする際によく出す話題なのですがピロリ菌感染の話しをご存じでしょうか?かつて胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因がピロリ菌感染ということがまだわからっていない時代がありました。わかっていない時代には胃潰瘍や十二指腸潰瘍は胃の全摘出や潰瘍の内視鏡治療による切除または、薬による対症療法が中心でした。

しかし、その後、原因となるピロリ菌の存在が発見されました。原因が何かということがわかったのです。そして現在は検査によってピロリ菌の存在が分かれば、除菌治療によって完治させることも可能になりました。その後の胃ガンなども発症前治療が可能になっています。これと同じことが歯周病治療にも言えるのです。歯周病も全く同じです。

まずは歯周病を重症化させてしまう歯周病菌がお口の中に存在するのか、またはしないのか?そしてもし歯周病菌がお口の中に存在した場合には除菌治療を行います。もし、歯周病菌が存在しない場合には生活習慣病や噛み合わせの要素のほうが強いですということですので、生活習慣の変更の指導と治療を行ってまいります。そしてその後、破壊された組織に対しての治療をおこないます。ここでの流れは次のようになります。

 

一般的な歯科医院で行なわれている歯周病の治療

一般的な歯科医院で行われている歯周病の治療はどういう流れかご存知でしょうか?


今まで歯医者さんで歯周病の治療を受けられたことがある方は思い出してみて下さいね。「歯周病が進んでいるので歯石を取っていきましょう」 「歯周病なのでスケーリングをしていきましょう。ということで何回も歯のお掃除に通われたのではないでしょうか?しかし、歯周病は治らない。こういうことを繰り返してこられているのではないでしょうか?ところでみなさんお口の中って、いっぱい場所がありますよね?

現在、ほとんどの歯科医院では歯周病の治療には「歯石を除去する」という治療が一般的です。「歯周病ですので、数回にわけて歯のお掃除をしていきましょう。」という治療が一般的です。そこで、歯石を除去すること。しかも、一日(1回)で、全部の歯石を除去してしまうことこの行為は現在の日本の保険制度では認められていません。さらに歯茎の深い部分になると麻酔を行わないととても痛くて掃除ができません。一度に何本の歯もできません。ちょっとづつ何回にも分けて掃除を行なうしか、できないのです。1回目は右下の部分の歯石を取り掃除して2回目には左下の部分の歯石を取り掃除して3回目には左上の部分の歯石を取り掃除して、・・・とやっているうちに1回目に掃除したはずの右上の歯周病菌は綺麗になったはず部分に口の中に存在する他の部分の歯周病菌がうつっていくのです。歯石を取ったからもう安心安心していたら駄目なんです。歯石を取ってキレイにした部分にお口の中の歯周病菌が飛び移って伝染していくつまり感染症なのです。

そこが歯周病の怖いところなのです。さらに歯周病は感染症ですから親から子、夫婦どうし、恋人どうし歯周病菌が感染しあっていくのです。

覚えていて下さい。歯周病は口から唾液を通じて感染します。

 

 

最善の歯周病治療とは

では最善の歯周病治療とは一体どうすればいいのでしょうか?一体どうすることが歯周病の治療になるのでしょうか?それがワンステージ フルマウス ディスインフェクションという歯周病の治療方法なのです。

口の中を全部1日(1回)で一度に掃除治療する。
歯周病菌を殺す薬で一気に歯周病菌を殺してしまう

この治療がとても大事なのです。

一度に掃除治療をすると同時に飲み薬も服用して頂きます。お口の中で歯周病を重症化させている歯周病菌を殺すお薬になります。菌を殺す薬なら何を飲んでもいいのか?と思われる方もいらっしゃいますがそれは違います。

歯周病菌の種類に応じて効く薬と効かないお薬があります。

だから歯周病菌の種類が分らないといくら歯周病を治すために薬を飲んでも治らないわけです。

大事なことはまず

  1. バイキンの種類が何なのかを調べて知る、確認する(診断)
  2. 歯の表面についたばい菌を除去できるように練習する(ブラッシング)
  3. それから一気に口にいる歯周病菌を取り去る(治療)
  4. 歯周病菌を殺すためのお薬を服用する(薬の服用)

以上のプロセスが非常に大事になってきます。

菌を殺す薬をいくら飲んだとしても歯石やバイキンのかたまり(バイオフィルム)に対しては効果はありません。機械的に専門家の手で歯石やバイキンのかたまりを除去してやるしかないのです。さらに歯周病菌の種類に応じて効く薬、歯周病菌を殺す薬を飲むということが大事なのです。

A菌にはA薬
B菌にはB薬
C菌にはC薬

が必要です。

AB菌がいるにもかかわらずA薬を飲み続ければA菌が減り炎症は治まりますが、B菌が残ります。そしてA薬が効かなくなります。これが菌交代現象です。

AB菌になると、A薬とB薬を同時に飲まなければ薬が効きません。効力がなくなってくるのです。治療に関しては、感染症であるから、歯周病菌を除去するということが治療の目標なのです。

歯周病は糖尿病と同じ

歯周病は糖尿病と同じだとお考え下さい。つまり、一生付き合うもの、です。風邪を引いてしまい内科に行けば、風邪薬を飲み、養生をしていればある程度は治りますよね?で、症状が治まれば五体満足「風邪は治った」となります。

しかし、歯科は違うのです。歯科は外科的な考えです。外科と同じで「削って悪いところを除去する」ということが歯科治療の主体になります。

歯周病で一度溶けてしまった歯を支えている骨や組織は元には戻ってはくれません。削った歯を元に戻すことはできませんし溶けた骨を元に戻すこともできません。歯周病はなにもせず放置しておくとどんどん歯を支えている骨が溶けてなくなっていきます。どんどん進行します。治療の目標は、「歯周病が治る」ではなく「歯周病で溶けた骨が元に戻る」でもなく「歯周病の進行を止める」でも、ありません。

「歯周病の進行を遅らせる」これが歯周病治療の最終目標です。

 

こんなに頑張ったのに、こんなに歯医者に通ったのに・・・。こんなに毎日毎日掃除をしたのに・・・。しかし、歯周病は 治りません。ある程度骨を再生する別の治療はありますが、基本的には歯周病が重症化することを遅らせるということが治療の第一の目的です。それができてから再生治療(インプラント、GTR、GBR、エムドゲイン等)なのです。もし除菌せずして再生させたとして、どうなると思われますか?骨はどんどん溶けていきます。今の何もしない状態だと、骨がどんどん溶けて歯がなくなってしまうのです。ですからなくなるスピードを遅らせることがとても大事なのです。歯周病治療の目標になっていくのです。

歯周病は「治る」ということはない。

歯周病に関して「治った」という表現はしません。

先ほど申し上げたように歯周病は糖尿病と同じです。一度歯周病にかかると一生のお付き合い、です。

歯周病が悪化するのを少しでも遅らせて現状を維持すること

これが歯周病治療の目標です。お口の中に存在する重症な歯周病のバイキンを

①極力除去する。
②これ以上、ふやさない。

この2つががとても大事なのです。

 

歯周病治療の目標である「歯周病の進行を遅らせる」状態になった時はどうなるのか?それはご自分の歯を残しやすくなるということです。歯を失う時期を遅らせることができるのです。きちんと定期的にメインテナンスを行なっていけば、高齢になっても十分ご自分の歯を維持することができます。

また歯周病は年齢には関係ありません。20代、30代でもでも重度の歯周病の患者さんはたくさんいらっしゃいます。若年性歯周病で歯を多く失い方は珍しくはありません。そして80代でも歯周病になっていない患者さんもいらっしゃるのです。ですから歯周病は決して「老化だから」という一言で終わらせることはできないものなのです。

歯周病菌治療の方法

さあでは、一度に一回でバイキンを除去してしまう歯周病菌治療とは一体どうやって行うのでしょうか?先ほどの6つのバイキンのうち最も多く悪さをするPG菌、という菌があります。この菌は中等度の歯周ポケット、6〜7ミリの場合、縁下の歯周病菌を直接除去しないと、プラークコントロールは困難です。Aa菌という菌は術後に残存しやすい菌なのですので少量のバイキンでも油断するとどんなに頑張ってもすぐに悪化します。したがってその原因である歯周病菌の歯周病菌を目標とする数値(域値)以下にコントロールすることが、常にそれ以上増えないようにすることが目標です。さらに治療の目標としては、深い歯周ポケットがあると歯周病菌がまた住み着いてしまいます。菌が住み着かないようにポケットを浅くする、減らす歯周病菌の数を少なくするそれによって進行を遅らせる、これがとても大事なことなのです。そしてRED complex といわれる3種類のバイキンとAa菌の4種類です。さきほどの歯周病菌の集合体、これらが他の歯周病菌の中で存在するのを5〜10%の量にまでもっていかなくてはなりません。これらの歯周病菌が口の中に大量に繁殖していたらダメなのです。歯周病に関係が深いといわれている歯周病菌、これは嫌気性菌がほとんどなのです。嫌気性菌とは 酸素に触れると死滅つまり、死んでしまう という性質を持っています。だから今まで見つからなかったのです。吉本歯科医院で行っている歯を削らずにお薬でむし歯を治すという薬で治す治療法も全く同じです。「細菌を培養しても増殖していないから大丈夫ですよ」ということで、治療はされていたけれども、治療は失敗に終る。口の中に細菌が実は残っていたわけなんですね。嫌気性菌培養といって空気のないところでバイキンを増やす検査法ができてはじめて嫌気性菌が発見されたのです。 薬で治す治療法はこの嫌気性菌に効くのでむし歯が治っていくのです。歯周病も同じです。重症化させる歯周病菌は、深いところにいるから生き延びることができるのです。歯石になって酸素を遮断できるからブラッシングだけでは意味がないのです。それを見つける検査ができたわけです。効く薬が何なのかわかってきたというわけなのです。よく歯科医院で口の中の細菌の検査をしていますというのを見かけます。あなたの口の中の細菌が何なのか検査をしましょう」という検査をしてもまったく意味をなさなかったのです。見つけられないのです。これは今までの歯科医院がどうこうという問題ではなく、きちんとした高度高額機器でもってバイキンをきちんと扱うことによってでしか見つけることはできないのです。嫌気性菌をいくら医院で培養して増やそうと思っても口の外に出たとたんに死んでしまっていますから増えないのです。見つけることができないのです。その検査は当然一般の歯科医院では行うことはできません。外部の歯科専門の研究検査センターに依頼する必要があるのです。PCR-インベーダ法 インベーダ法(IV法)そういう新しい検査機器の発達によって見つけることができるのです。

そしてAa菌においてはPCR-インベーダ法でなければ意味をなしません。

Directインベーダ法でも検査はできます。しかし、5000未満という検査結果だけでは決して安心できないのです。唾液検査だけでは不正確なのです。ペーパーポイントによる検査がどうしても必要なのです。

どの研究機関に依頼するか?どの器械でどの検査法で検査するかが重要なのです。そして医院でのテクニカルなサンプリングも重要です。菌の採取の仕方です。

 

歯科の現場は何が起こっているのか?

現在の日本の保険制度

歯科治療において日本の保険制度が認めていないものがあります。それが以下の項目です。

①歯を残す

②歯を長持ちさせる

③歯を削らない

④見た目

⑤安全性

上記の行為は一切認められていません。歯周病治療でいえば最初に歯周病菌を除去するということは認められていな、という点です。

歯を残すために最初に歯周病菌を除去することは保険適応にはならないんです。

歯周病にかかっている人が歯を残すためには最初に歯周病菌を除去することですが最初に歯周病菌を除去することは実は保険では認められていません。つまり、保険適応にはならないんです。歯周病菌を除去しなければ歯が残らないにもかかわらず、最初に歯周病菌を除去することは保険では一切認められていないということなのです。現在の日本の保険制度では「保険で歯科治療する」ということは、法的文書に証拠を残す必要があります。法的に文書を残すためには国が決めた通りのやり方順番を行わないとダメなのです。

実は、保険では歯の削り方も決まっているんです。使っていい材料や材質も決まっています。今、金属アレルギーの患者さんが増えてきて問題になってきています。理由は保険では、金属アレルギーにならない材質を使ってあげられないからです。つまり日本の保険制度において「何かをするときには必ず、何が原因であるか?どういう状態であるか?ということを検査しなくてはならない」という基本的考えがあります。そしてその処置や結果がよかったのかどうか?さらにどんな治療が必要か?その治療は正しかったのかどうか?そられを検査して診断する。その後、次の治療が必要かどうか?ということを決めていかなくてはいけないのです。つまり検査→処置→検査→処置→検査この繰り返しです。この検査を必ずしなければ次の処置に入れない、ということなのです。

検査という名のもとに、歯周病の悪化をお手伝いしている

ところがこの歯周病の検査というものが実はとてもやっかいなのです。歯周病の検査って何をすると思いますか?皆様も体験したことがあるかと思います。歯周ポケットの中に細い針のような検査器具を差し込むんです。差し込んでその深さがどれほどか測るのです。歯ぐきにブスブスと針のような棒を突きささすんですね。痛いですよね。歯の表面の汚れをとってもいないのに、針のような器具で歯周ポケットの上から下につっこまれるわけですよ。その時に歯の表面についてある歯周病菌はどうなるでしょう?中の深いところに押し込まれるわけですね。

ひどい人だと出血します。歯肉に傷がつく方もいます。傷をつけて歯周病菌を押し込んでいるようなものです。つまり、検査という名のもとに、歯周病の悪化をお手伝いしているということなのです。しかし現在の日本の保険制度においては、その歯周病検査を行わなくてはいけないという決まりがあります。その検査を行わないうちに次に保険の治療をしてはならない、と決められているのです。保険の治療を選択された方は歯ぐきのチクチクする歯周病検査をまず第一に受けていただくしかないわけです。歯周病検査はひどい人は腫れてきてしまいます歯周検査をすることで状態が悪化していっているのです。

検査で状態が悪化?

歯周病検査により歯ぐきの深いところまでばい菌を押し込まなければいけないのです。深いところにいる歯周病菌はさらに奥深くへと押し込められてしまいます。つまり、治療の名のもとに歯周病検査ということを行い歯周病を悪化させているのです。しかも歯周病菌の種類にかかわらず、やり方は全部同じです。こんなことを繰り返していて歯周病が治るわけはありません。やっと歯ぐきが落ち着いて腫れが少し引いてきだしたかな?という頃に歯医者さんに行くと、また検査です。再度歯周病菌を押し込まれ、また腫れます。治るわけないです。この繰り返しでこんなことが当たり前にように歯科医院では繰り返されているわけです。歯を失う原因のほとんどが歯周病だというにもかかわらず、日本の保険制度では、細菌を調べる薬を飲む一度に掃除する予防するこういった行為に対しては一切保険は認められていないのです。歯医者さんに行って「あなたは歯周病が進行している、なんて一度も言われたことなかった」という方がこの国には圧倒的に多いのはこういう原因があるのです。保険では治すことはできないので「あなたは歯周病です」なんて軽く言えないわけです。治して欲しいと言われても治してあげられないのが現実なのです。「歯の掃除をしていきましょう」としか言えないのです。

ではどんな歯周病治療をしていくのか?

(1)パノラマレントゲン写真の撮影

 正常な骨の状態の写真です。

根のまわりを白いモヤモヤ(骨)がおおっています。硬いものが白くうつります。硬いものとはここでは骨や歯を表します。

骨が溶けてなくなっている写真です。

これは20代の女性ですが歯の根のまわりが黒くなっています。硬いものが白くうつりますので柔らかいものは黒くうつります。

レントゲンを撮影してみれば歯を支える骨が溶けているか、溶けていないかを見ることができます。どこの骨が溶けているのか、溶けていないのかその場所がわかります。どの歯が重症か、悪化しているのかがすぐに見てわかります。どこの部分の歯周病菌の種類を調べればいいのかがわかるのです。骨が溶けている部分の歯周病菌の種類を調べてやれば大体、口の中は感染症だから原因の歯周病が何かわかるわけです。たしかに全部の歯について調べられたらいいのですが、費用がかかります。ですので、まず重症なところにいる歯周病菌は何なのか?を探す必要があるのです。

その時、数箇所ポケットの中に歯ぐきがチクチクするような形での検査があります。しかし、これは菌を取り出すのに必要なのです。いわゆる歯周ポケット検査とは違います。現在の日本の保険制度では歯周病の検査は中等度以上なら6点法といわれます。1本の歯に対して6箇所ブスブスと検査の器具を差し込む決まりになっているのです。歯は28本あります。計算すると合計168回も普通の人は突き刺されるということになります。先ほども申し上げた通り歯周病菌が押し込まれていくわけです。それに比べれば数箇所ちょこちょことする程度は比較にならないほど、軽症です。まずは診断です。どの歯周病菌がどういう悪さをしているかそれを突き止めることが第一になります。吉本歯科医院ではそのような検査をまず最初にします。悪化させている歯周病菌を採取します。これをサンプリングといいます。サンプリングされたバイキンを調べる歯科専門の検査研究センターに送ります。当然、嫌気性菌(空気に触れると死んでしまう)ですから、その歯周病菌の死骸がそこにくっついているわけです。それを遺伝子検査、いわゆるDNA検査ってありますよね?1本の髪の毛から個人を特定するあれ、あれによく似た検査でもって歯周病菌の種類、量を計測していくわけです。

これは一医院では絶対にできません。最新の設備を有する専門の研究所でなければできません。一医院でする歯周病の検査もいろいろありますが、全く意味をなしません。そうすると、約2〜3週間後には、どういう歯周病菌の量や割合が多い少ない、という報告があがってきます。

歯周病の検査報告書というのができあがってくるのです。歯周病菌の種類、量、数値がそれぞれの歯周病菌の種類に分けて報告されるのがこの検査報告書です。歯周病菌の種類に応じて攻撃をしかけていきます。そしてさらに薬の服用です。歯周病菌をある程度減らした上で、残っている歯周病菌を一気に減らすため、機械的に取れない場所にいる残った歯周病菌を取り除いていくわけです。専門家といえど人間のやることです。歯の根の又部分の間まで、器具が絶対に入らない場所というの場所があるのです。無理矢理器具を入れますと、歯が抜けてしまいます。口の中の悪性の歯周病菌の数、種類、量、割合を一気に減らすことができます。そうすれば口の中の環境は劇的に改善していきます。歯周病菌の種類によっては、この薬も保険は適用されません。

 

どうやって治療していくのか?

  1. 表面の歯周病菌を機械的に除去します。歯茎を傷つけない程度に行います。
  2. ブラッシングを行います。※ここまではよくある内容です。
  3. 歯周ポケットにお薬を注入し炎症をおさえていくのです。
  4. 次に、深い部分を一回でばい菌を除去する治療を行います。

 

歯周病は感染症です。感染しますので一度に行ってしまわないといけないのです。意味がないわけです。休憩なしで2〜3時間は最低かかります。

鎮静麻酔という方法を取ります。

休憩なしで2~3時間お口をあけっぱなしということはこれはなかなかできません。ですので静脈鎮静麻酔という方法を使って行います。つまり麻酔です。麻酔といいますと全身麻酔をイメージされると思います。しかし、鎮静麻酔ですので意識はあります。意識はあるリラックスしたそんな感じの麻酔です。寝てしまわれる方もいらっしゃいます。そういう麻酔をかけて2〜3時間かかりますが治療を行うのです。3時間かかって口の中の深いところまで一気にそうじするわけです。これがワンステージ フルマウス ディスインフェクションです。ワンステージ、一日一回というのが、とても重要なのです。

歯周病菌を排除し、その後も排除した状態を保つ

傷が治るというのには時間がかかるのです。つまり、日数がかかります。傷が治るときには、それまでの期間に歯周病菌がどんどん繁殖してしまってはいけないわけです。歯の表面に歯周病菌がついてはいけないわけです。ここで、3DS治療(歯の表面菌の無菌化処理)を行ないます。これを治療と同時に行っていきます。

どんなものかとイメージしていただくにはホワイトニングのマウスピースのようなものになります。マウスピースに歯を白くする薬剤を入れ歯にカポッとかぶせる、これで歯を白くします。それと同じ要領で、マウスピースに歯周病菌を殺す薬剤を入れて歯にカポっとかぶせる。そうすることで歯茎の傷が治っていく間も歯の表面の汚れはその消毒剤によって消毒されるわけです。そういう風に最初から最後まで歯周病菌を排除していく、そしてその後も歯周病菌を排除した状態を保つためにやって頂く。全く今までの歯周病の治療とは考え方そのものが違うわけです。

正しい「歯周病の予防」

悪性の歯周病菌4種類が減らすことができれば、増やさないように日常から、予防することはできます。歯の表面の歯周病菌を除去すること除去しきれない歯周病菌は絶対いるわけですから、定期的に除去できるよう通っていただくこと。予防というのはまず機械的に一気に歯周病菌を吹き飛ばし歯周病菌の量を減らしてからの話です。これが正しい「歯周病の予防」とだと思います。今、よく言われている「ブラッシングしましょう」だとか、「歯医者に定期的にかよって予防しましょう」と言われているのは本当の「歯周病予防」ではありません。歯周病は感染症です。一生のお付き合いをしなくてはなりません。そのようにしていい状態の老後を迎えて頂きたいと思うのです。

最善の歯周病治療の流れ

 

治療におけるリスク

  1. 発熱、腫れ、半数の方に発熱が出ると報告されています。
    大量のバイキンが一気に放出されるわけですから当然熱が出たり、腫れる方もいらっしゃいます。
  2. 歯周病菌の住む場所を減らします。深いポケットをなくす、つまり歯ぐきが下がって根が見えてくる。しみやすくなる。痛みがでやすい。これは通常の歯周病治療でも起こることですが、やはり起こります。日常生活に支障がでる場合は神経を取らなければならなくなることもあります。神経を残せた方がいいですが、神経を取ってでも歯を残した方がいい場合もあります。
  3. ゆれていた歯のゆれが大きくなります。支える骨が溶けてしまっている歯では、歯茎、歯肉が歯を支えています。 歯の根の表面を機械的に掃除しますので、ゆれが大きくなります。マウスピースで固定していれば助かる歯は除々に収まっていきます。
  4. 皮下出血 青アザのようなものが一時的に出ることがあります。数週間で除々に引いていきますので大丈夫です。
  5. 血液検査、心電図検査。手術の適応になられない方もいらっしゃいますので事前に受けて頂きます。
  6. 歯周外科、再生治療、インプラント
    リスクということではないかもしれませんが、菌がいなくなっても不良肉芽、不正骨形態や咬合異常がある場合は、除去したり形態を修正する必要があります。

 

 

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香川県高松市。かみあわせ専門 吉本歯科医院 院長 歯学博士。歯の神経治療について専門的な情報を発信。四国で唯一の接着歯科学会認定医。歯を削らず虫歯で治す虫歯治療を行っている。歯医者さんが教える歯を失わない話を各地で講演、セミナー実施。放送大学講師

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